小説
□散る花 咲く花
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綺麗だとお前は言った
咲き誇る姿が力強いと。
悲しいとお前は言った
散り行く姿が哀れだと。
全てはただ廻るだけ
終わりなんてない
だから赤也、そんな顔をしないで。
ー散る花 咲く花 ー
「相変わらず綺麗ッスね〜」
ポスンッと音を立ててソファーに身を沈める。
木製のベッドや棚、そして丁寧に磨かれたフローリング、おしゃれな雰囲気を醸し出すこの部屋は
いつ来ても楽しい。
ソファーの感触を確かめるために、跳ねるように何度も体を沈める。
そんな赤也の隣に、部屋の主が腰を降ろした。
「こら赤也、あんまりはしゃがない。」
軽く頭を押さえられて、そのまま停止。
にこりと微笑む姿はいつ見ても綺麗だと思う
嬉しくて、赤也も自然と笑い返した。
「だってすげぇー嬉しいんッスよ!部長の部屋来んの。」
最近は部活が忙しくて
二人の時間なんて取れなかった。
まして、恋人がその部の部長なら尚更。
だから本当に嬉しいのだ
ピッタリと体をくっつけて、甘えるように肩に頭を乗せる。
「赤也?」
いつもは恥ずかしがって、中々自分からくっついてこないのに
妙に積極的な赤也の髪を撫でながら、幸村は赤也を呼んだ。