小説
□溺愛drug
1ページ/6ページ
危険につき使用注意。
魅惑的なほど危険
魅せられたら、最後。
用法用量を守って正しく扱い下さいー
ー 溺愛drug ー
「・・・貞治に?」
「はい。昨日会ったんスよ!」
整えられた和室に鎮座する二人。
チャプンと鳴る水温は、赤也の手に収められた小さなビンから。
「・・・・・。」
露骨に危険な色をした液体。
これなんだろう。と不思議そうに見つめる赤也と違い、柳はそれに頭を抱えた。
乾はよく妙な飲料、もとい液体を作り出す。
それの危険性は青学テニス部から伝わり、柳自身最近知ったことだった。
「んー・・あ、でも何かうまそうに見えなくもない?・・・・かも。」
その危険物が今、赤也の手の中にある。
「赤也、捨てろ。」
「えぇっ!?」
赤也が驚こうが悲しんでいようが、この際関係ない。
うまそうなどという危ない発言が聞こえた以上
赤也に持たせては危険だと、柳はピシャリと言い放った。
「えー・・せっかくもらったのに勿体無いッスよっ!」
駄々をこねる子供のように頬を膨らませる赤也
こういう時の赤也は、何を言っても聞かないことを
柳はよく知っていた。
「大体、そんな怪しいものを貰ってくるな。」
一つ、深い溜め息を漏らす。
そんな柳の様子を見た赤也は、呟くように小さく口を開いた。