小説
□散る花 咲く花
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「・・・寂しかったッス」
消えそうな程小さく囁かれた言葉
それに驚いた幸村は、赤也の顔を見つめた。
久しぶりに触れた幸村の熱に
嬉しさだけでなく、会えなかった寂しさも募ってしまったのだろう。
赤也の眼には、うっすら涙が滲んでいる。
幸村は赤也を肩から引き剥がし、正面から強く抱き締めた。
「・・・俺も、寂しかったよ」
会えなくて辛かったのは、幸村も同じ。
意外にも力の強い恋人の腕の中で
赤也は安堵して眼を閉じた。
「部長・・・・」
静まった空間で顔を上げれば、どちらからともなく唇を寄せる。
触れるだけのキス
余計に唇に熱が伝わって
啄むように、浅いキスを繰り返す。
気付けばその熱は
体中に廻って。
「っんぅ・・・・・部長・・」
震える声で自分を求める赤也に、幸村の枷は外された。